拠点メンバー
虫明 元(神経生理学)

1987年東北大学医学部大学院卒業、医学博士。1989年−1993年ニューヨーク州立大学医学部生理学学科Peter L. Strick教授の元でポスドクの後,東北大学医学部第二生理学講座助手。1996年-1999年科学技術振興事業団さきがけ21研究員兼任。1997年に東北大学医学部生体システム生理分野助教授。1999-2004戦略的基礎研究推進事業の研究領域 「脳を知る」の「行動制御系としての前頭前野機能の解明」(代表研究者 丹治 順)の分担研究員。2005年東北大学医学部生体システム生理分野教授として現在に至る。著書に「問題解決とその神経機構」(「認知科学の新展開2 コミュニケーションと思考」分担 岩波書店2001年)、学習と脳 ―器用さを獲得する脳―(サイエンス社、2007年)など。
- 研究内容の紹介
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最近の脳研究の進展によって、大脳の機能理解への端緒が開かれ、認知、行動、記憶、情動などの機能を支える生理学的なメカニズムを細胞レベルで調べることが可能となった。行動に意味を与える運動の連鎖は脳のどのような働きで可能となるか、随意的な行動と運動の発現の源流 は、脳のどの部位のどのような働きに帰結するのか。このような疑問の解明は、高次脳機能のシステム的研究の重要部分を占めている。現在、大脳皮質には多数の運動領野が存在することが明らかとなった。当教室では、神経生理学の研究と認知科学の最近の動向を基盤にして、大脳の高次運動野と関連する前頭前野、頭頂連合野が行動の発現にいかなる関与をするかという疑問に答えることを目指して研究を進めている。
最近の関心を向けている研究領域は、動作の制御や行動の発現からより認知的な脳機能の階層的な神経機構へと向かっている。特に、最近の身体性認知科学によれば、ヒト、動物、ロボットは、環境と相互作用する行為者として見なして、等しく研究対象となる。このような認知科学の立場から、問題解決を行う神経機構を明らかにすることが大切である。すなわち、行うべき運動を決定 し、それを企画・構成し、準備する過程はどのようなメカニズムで行われるか、それらの過程において、知覚情報や記憶情報如何に取り入れ、操作し、行動発現 に利用するかという問題をわれわれは具体的に解明しようとしている。
研究手法としては、まずコンピューター制御下で形成された実験系において霊長類を行動させ、さまざまな認知的機能を要求する。そのような実験の場において 多様に定義された行動の局面において、大脳の高次運動野ないし連合野から脳細胞活動を記録し、時系列的に詳細な解析を行う。例えば最近の教室のテーマは、問題解決課題として迷路をもちいた経路選択課題で前頭前野の遂行機能の神経機構を解明している。ゴール設定、計画、遂行、評価の過程の各フェーズへの前頭連合野の関与を神経生理学的に調べている。また両手連続動作を用いて、動作情報、効果器情報、順序動作情報などが、脳のどのように部位にどのように表現されているか、また情報表現の時間的なダイナミックスを調べている。また数を用いた動作課題を考案して、行動解析を行っている。時間生成の神経機構の研究を行い、脳の中で時間がいかに認知され生成されていくかの神経機構を調べつつある。神経細胞の数理統計的な側面例えば、同期性を状態遷移との関連から調べる研究を共同研究で行っている。合わせて LFPと呼ばれる局所脳電位のダイナミックスも数理統計的に解析し、その生理学的な意味を解明しつつある。その他、神経生理にとって重要な電極の開発も行っている。特にシリコン電極の開発、その周辺技術の開発を工学部との協力で行っている。

前頭前野では、将来の手順操作を瞬時にプランニングしている。
一方で実行期には、操作するときに順序にその操作内容を表現している。
前頭前野ではプランニングと其の遂行の両面に関わる。
大脳皮質の中で前頭葉はヒトで特に発達しており、現在多数の領野に分かれている。
随意性、問題解決、意思決定、運動制御などの機能を、脳ー身体ー動的環境として身体性認知科学的立場から神経生理学の手法により機能解明する。 - 代表的な論文
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- 1. Shima K, Isoda M, Mushiake H and Tanji J (2007)Categorization of behavioral sequences in the prefrontal cortex Nature 445:315-8
- 2. Mushiake H, Saito N, Sakamoto K, Itoyama Y, Tanji J. 2006 Activity in the lateral prefrontal cortex reflects multiple steps of future events in action plans. Neuron. 50:631-41.
- 3. Saito N, Mushiake H,Sakamoto K, Itoyama Y and Tanji J(2005) Representation of immediate and final behavioral goals in the monkey prefrontal cortex during an instructed delay period Cerebral Cortex 15:1535-46
- 4. Shima, K, Mushiake,H. ,Saito N. and Tanji, J.(1996) Role for cells in the presupplementary motor area in updating motor plans Proc.Nctl. Acad.Sci.USA 93 8694-8698
- 5. Mushiake H., Inase M. & Tanji J. (1991)Neuronal activity in the primate premotor, supplementary and precentral motor cortex during visually guided and internally determined sequential movements. J. Neurophysiol. 66:705-718
